文化施設紹介
本紙(さの文化)第1号の表紙の画を飾った安藤勇寿さんの「少年の日」美術館へ行ってきました。旗川に沿って野上の沢に入ると、やがてこの美術館の林に出ます。この林(雑木林)は安藤さんが、創作環境として、各地から取り寄せて造られた林ですが、あまりにも自然に溶け込んでいるので、安藤さんが造られたとは誰も気がつきません。昔からある自然の林と思ってしまいます。たまたま来館したプロの植木職人さんが、寒い地方にしか自生しない柿の本の「豆柿」が生えているのに驚いた。というエピソードがあるくらいです。また、佐野桜をはじめ山桜も多種散在しているので、それぞれ満開の時期に合わせて、長い期間桜が楽しめるスポットともなっています。この日は、畳三枚大の新作を制作中の安藤さんに、お話しを聞くことが出来ました。2時間近い会談で「生きて行く上で大切な、人としての心のありよう」を教えて頂いた気がします。「今を生きる、私までの命の流れの中で、一人でも欠けたのなら、今を生きる私はいません」
百間は一見にしかず、創作環境として造られた林も含め、こんな素敵な美術館が佐野市にあるのです。ぜひ訪れてみて下さい。期待以上の感動があると思います。
(映像部門 金子庸三)(演劇部門 飯塚正江)
※ 記載内容は「さの文化第16号」(令和3年3月31日発行)より転記しました。
この美術館は館長の島田文男さんが自宅の敷地内に自費で建設されました。田村耕一氏は酸化鉄を主成分とした彩料で絵付けする「鉄絵」の技法で人間国宝となった佐野市の陶芸家です。これまでに収集した田村氏の初期から晩年までの約400点の陶器をはじめ絵や詩などの作品を展示しています。年代、テーマごとに展示され、「鉄絵銅彩 竹鷺文広口大壺」、「掛分 椿文大壺」などの大作が間近で鑑賞できます。「田村先生の偉業を知ってもらいたい」という島田さんの熱い思いが存分に来館者に伝わるはずです。
〜鑑賞した編集委員の感想〜
郷土愛にあふれた島田文男さんは、佐野出身の田村耕一さんの鉄絵の大皿に心酔し、若い頃から作品を購入して応援し、気づけば多くの作品に囲まれて生活している毎日の幸せを多くの人に見てもらえる場として美術館を創られました。NHKの朝ドラマ『スカーレット』でも主人公は陶芸をやっており賞をとって世に認められるまでは生活が苦しいと言われています。佐野にも人間国宝田村耕一さんがいらっしゃった事は私は不覚にも知りませんでした。ギャラリーを見学して心洗われる思いがしました。近くに本物を見られる場がある事はとても幸せな事と思いました。
(歌謡部門 高橋明美)(演劇部門 飯塚正江)
住所:佐野市閑馬町398−6
※ 記載内容は「さの文化第15号」(令和2年3月31日発行)より転記しました。
葛生石灰岩地域の地層で発見された化石は、約2億7千万年前に生息した腕足動物の新種であると認定された。3年前にも同地層から新種化石が発見されており、この種の化石が米国テキサス州からも発見されていることから、古生代の地球を知る手がかりになると世界から注日されている。約2億7千万年前、佐野市はテキサス州の隣にあったのか?古代ロマンに胸躍る。
葛生地域に分布する石灰岩は、古くから工業用として使用され、日本経済に貢献してきた。その石灰岩を作ったのは、はるか昔の生き物たちで、アルカリ度の強い上壌のおかげで酸化が遅くなり、たくさんの動物化石が保存された。佐野市会沢町で発掘されたニッポンサイもその一つで、ほぼ全身そろっての産出標本は日本唯一ここだけ。「葛生化石館」の日玉となっており、全国から多くの化石ファンが訪れている。
また、全国の石灰岩展示コーナーでは、様々な石灰岩が展示されており、訪れる人の目を楽しませている。中でも、国歌「君が代」に謳われた「さざれ石」は一見の価値がある。う〜ん、石灰岩半端ないって!
また、化石館周辺には、化石や地層を観察できる場所がいくつかあり、化石館では、当館発行のジオサイトマップを持って、そのポイントを巡るイベントを、年に数回行っている。化石拾いも出来ることから、子どもたちに人気の催しとなっている。詳しくは、葛生化石館に直接お問い合わせ下さい。
(映像部門 金子庸三)(歴史研究部門 川田春樹)
※ 記載内容は「さの文化第14号」(平成31年3月31日発行)より転記しました。
東石美術館は、初代館長の菊池登(東京石灰工業株式会社創業者)が地域の方に文化的・芸術的に価値の高い数多くの作品と身近に接してもらいたい、そして文化高揚に少しでも役立てたいと私財を投入し昭和25年に開館致しました。
以来、二代目館長も初代の意志に沿いながらも数多くの芸術家の作品を収集展示し無料で開放しておりました。(現在は有料です。)
20周年を期に「ゆとりの空間で本物に親しむ」をテーマに、鐘鳴りわたる万葉の里佐野市の街角美術館「佐野東石美術館」と名を改め新世紀を迎えました。
市民の文化、教育、ゆとり空間として親しんでほしいとの初代のお心が脈々と引き継がれ私たちを癒してくださっているのかと思います。
メセナ活動にも力を入れ、若手芸術家の支援・育成等に積極的に取り組んでおります。
1階の受付けを通り階段を上る所で、17世紀のペルシャ蜜蛇絵狩猟図が目に入りました。2階と3階の展示室には、静寂の中に著名な方々の作品が手の届く近さに整然と置かれてあり、なぜかもったいないと一歩下がる思いでした。
佐野の地にキラリと光るダイヤを見つけたようなすばらしい美術館がいつでもどうぞとお待ちしているようですよ。
(絵画部門 大阿久則子)(邦楽部門 岡安祐璃)
※ 記載内容は「さの文化第13号」(平成30年3月31日発行)より転記しました。